気になる背中


可愛いなんて言われて、心臓が止まるかと思った。

大塚君はそんな私の気なんて知る由もなく、平然としていた。



「勉強、始めようか」

「…は、はいっ!」


言われて私は教科書とノートを開いた…。

でも、勉強を始めてみても、頭の中はずっとさっきの言葉のことばかり考えてしまう。



可愛いなんて言葉、平然と口から出すなんて大塚君は大人だなって思った。

よっぽど女の人に慣れてるんだなって、そう思った。



お姉さんがいるから…?

それとも、彼女がいるから…?



いろいろ考えると、胸の奥がぎゅうっと苦しくなる。


勉強に集中したいのに、全然集中できなくなる…。

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