気になる背中


家に帰ってすぐに私は自分の部屋に入った。

制服から着替えて、ベッドに潜り込む。

早く治さないと…。
そう思って布団の中でぎゅっと目を瞑る。


すると、ドアがノックされる。

誰かなんて考えなくてもわかる。お兄ちゃんだ。


恐る恐る返事を返すと、ドアが開けられてお兄ちゃんが部屋に入ってきた。



「ちゃんと水分摂っとけ」

そう言うと同時に、お兄ちゃんにスポーツドリンクを渡された。


また迷惑掛けちゃった…。

私はまたそんな酷い自己嫌悪に襲われる。



「あの…、お兄ちゃん」

「なんだ」

「…あの、迷惑ばかり掛けてごめんなさい」


私がそう口にすると、お兄ちゃんは微かに眉間を寄せた。


怒られる…!

お兄ちゃんの反応に、そう思ってつい身構える私。


けれど、お兄ちゃんは、ぽんっと私の頭に手を置いただけだった。



「変な気を回すな」

お兄ちゃんはそう言って、私の頭をくしゃりと撫でた。


…それがなんだか温かくて、嬉しくて、涙が出そうになった。



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