気になる背中
「澪ちゃん、大丈夫…?」
優しい声がした。
顔を上げると、そこに居たのはお兄ちゃんではなく、お兄ちゃんの彼女の佑香さんだった…。
「…ゆ、佑香さん…?どうして…」
なんでここに…?
まだぼんやりする頭が混乱して、意識が遠くなりそうだった…。
「あ。驚かせてごめんね。神崎の奴に頼まれてさ」
「え…、お兄ちゃんに…?」
「うん。お粥作りに来いって急にメールで呼び出されて…。
で、お粥作ったんだけど、食べれる…?」
言われて佑香さんを見れば、その脇には小さな土鍋。
「す、すみません。ご迷惑おかけして…」
私が謝ると、佑香さんは慌てて両手を振った。
「ううん。迷惑なんて全然!
澪ちゃんのこと心配だったし…。それに、私のことなんて気にしなくて良いんだよ?」
「で、でも…」
「いいから、いいから!」
そう優しく笑いかける佑香さんに、私は申し訳なく思いながらも頷くしかできなかった。