気になる背中
「澪ちゃん…?」
大塚君のことを考えて急に黙り込んでしまった私に、佑香さんが心配そうに声を掛ける。
その声に私は慌てて顔を上げた。
「す、すみません…」
「ううん。大丈夫…?熱しんどい…?」
「い、いえ。大丈夫です!
あの…、えっと…」
「ん?」
「あの…、お願いがあるんですけど…」
「私に?」
「はい。
…えっと、大塚君…陸君に、ごめんなさいって伝えてもらえませんか…?」
「陸に…?」
私の言葉に佑香さんは不思議そうな顔をした。
…そんな佑香さんに私はこれまでのことを話した。
ずっと勉強を教えてもらっていたこと。
それなのに、テストを受けられなかったから、がっかりさせてしまったかもしれないこと…。
そのことを話すと、佑香さんはにこりと微笑んだ。
「大丈夫。心配しなくても陸はそんなこと思ったりしないよ?
…むしろ、澪ちゃんのこと心配してると思うから、後でメールでもしてあげて?」
と、佑香さんは微笑んだまま私にそう言った。