気になる背中
…するとそこで、またドアがノックされた。
今度こそお兄ちゃんだ。
そう思って返事をすると、やっぱりお兄ちゃんが顔を出した。
「あ、神崎!お帰りー」
佑香さんがそう声を上げる。
どこかに出掛けていたのかな。
そんなことを思っていたら、お兄ちゃんは私に薬を渡してきた。
それは封の開けられていない新品の箱のまま。
わざわざ買いに行ってくれたのかな…。
そう思うとすごくすごく嬉しくなった。
「あ、ありがとう…お兄ちゃん」
「飯喰ったら、それ飲んで寝ろよ」
私の言葉にお兄ちゃんはそれだけ言って、佑香さんの方を向いた。
「ほら、行くぞ」
お兄ちゃんはそう言って少し強引に佑香さんの腕を引き、そのまま部屋から出て行ってしまった。
「神崎の馬鹿!!もっと澪ちゃんと話したかったのにー!!」
「お前がいたら、あいつが休めないだろ」
「だからって、強引すぎ!!むかつく!!」
廊下からはそんな声が聞こえた。
喧嘩しているみたいなだけど、なんとなく2人の仲の良さが伝わってくる。
私は嬉しくなってこっそり笑ってしまった。