気になる背中
「これ、休んでなかったら学年で10位内に入ってたんじゃない?」
「でしょでしょ!?やっぱ大塚もそう思うよねー!?」
2人はそんなことを言っていて、私は恥ずかしくなってつい声を上げた。
「だ、だから大げさだってば!」
私がそう言って答案用紙を奪い返すと、大塚君は納得したように笑みを浮かべた。
「ああ、大げさってそういう事か…。
大げさって言うよりさ、神崎は自分のこと過小評価し過ぎじゃない?」
「うんうん。澪はもっと堂々としてもいいんだよ?」
2人にそう言われてしまい、私はまた恥ずかしくなって俯いた。
だって、堂々とかそんなの無理。
テストの結果だって、大塚君のお陰だもん…。
自分に自信を持とうって思っていても、やっぱり出来っこない……。
私がそんなことを思って俯いたままでいると、HRを告げるチャイムが鳴って奈々子ちゃんは自分の席に戻って行った。
大塚君も自分の席に座り直すと、私にそっと声を掛けた。
「あんな風に言われるの嫌だった?ごめんな…」
そう言われて私は慌てて首を振った。
「私こそごめんなさい…。
私、2人みたいになにも出来ないし、駄目なところばかりだから……」
だから自信なんて持てないし、堂々ともできない。
そう大塚君に伝えると、大塚君は少し困ったように口を開いた。
「…そういうのが過小評価し過ぎなんだよ。
でも、そういうところが神崎の良いところなのかもな…」
そう言いながらふわりと微笑まれて、私は自分の心臓がどきんと跳ねたのを感じた…。