気になる背中
…だけど、HRが始まっても大塚君は教室にやって来ない。
ぽっかり空いた前の席。
いつもの背中が見えなくて、なんだかすごく違和感を感じてしまう。
やっぱり私が風邪うつしちゃったのかな…。
そう思って不安になっていると、教室のドアが勢い良く開けられる音がした。
「遅れてすみません!!」
ドアが開くのと同時に聞こえた声。
反射的に振り返ると、息を切らせながら教室に入ってくる大塚君がいた。
「こらぁ、大塚。お前もう夏休み気分かー?」
先生が茶化すように言って、クラスメイトたちもそれに笑っていた。
大塚君もへらっと笑って答えていたけれど、私はそんな彼の笑顔にどこか違和感を感じた…。
なにかあったのかな…?
そう思いながら、前に座る背中を見つめる。
いつもは背筋がすっと伸びているのに、今日は少しだけ猫背だった…。