気になる背中
それからずっと話し込んでいて、帰る頃には日が沈みかけていた。
駅までの道を大塚君と一緒に歩く。
その間もずっといろいろな話をした。
大塚君と話すのはすごく楽しくて、あっという間に駅に着いてしまった。
改札を潜ると学生は私たち以外に誰も居なくて、ホームは空いていた。
夏休み直前にこんな時間まで学校に居残っていたのは、私たちくらいかもしれない…。
「神崎は上りだったよな?」
「うん」
私がそう答えると大塚君は「じゃあ、またな」と言って、下り電車のホームに向かって鉄橋へ歩み出した。
"また"と言うのはいつだろう…。
夏休み中に"また"会えるのかな…?
会えたらいいな…。
そんなことを考えながら、夕陽に照らされて浮かんだ大塚君の影をぼんやり見つめた。
橋を渡るその影は、私に向かって大きく手を振った……。