気になる背中
お兄ちゃんはレンタルショップに行っていたらしくて、借りてきたDVDを置いてそのまま席についた。
なに借りてきたんだろう…。
そう思って何気なく置かれたDVDを見ると、それは私が観たいと思っていた映画だった。
「お、お兄ちゃん…」
「ん?」
「あの、これ…、私も後で観ていい?」
私がそう言うと、お兄ちゃんは不思議そうな顔をした。
「興味あるのか…?」
「う、うん…。
えっと、この監督さんの作品好きなの…」
答えるのは少し恥ずかしかった。
だってあんまり有名な監督さんじゃないし、マニアックな感じがして、お兄ちゃんに引かれるんじゃないかなって不安に思った…。
…けど、
「俺もこの監督の作品は好きだ」
お兄ちゃんはそう言って小さく笑った。
そして、
「一緒に観るか」
と、そう言ってくれた。