星ちゃんと凪

「またトイレ?凪、いつまでこんな事してんの??」


ヒカルに言われちゃうのは当たり前だった。


私は休み時間の度にトイレにいた。

何をするわけじゃなく、ただ辛い今から逃げたかった。


「言っちゃえば?星に好きだって。」


「無理。嫌われたらどうする?」

「じゃあ、いつまでもこんな事してるんだ?」


「……。」


トイレの花子さんはきっと、私みたいに気の小さい恋する女の子だ。


トイレに来て鏡を覗いてはため息をついて……


私はトイレの花子さんになってる。


ん?


花子さんは私みたいにいくじない?


花子さんは私みたいに逃げてる??


やっぱり花子さんに失礼かも。

どうしたらいいのか、
全然わからない。


触れたい手はそこにあるのに、勇気が足りない。
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