星ちゃんと凪

「妄想?」


電話の向こうでヒカルはそう言った。

『妄想は誰にも迷惑かけないじゃん!例えば、その女の子は彼女じゃなくて妹とか!!』


芝生の上で電話をしながら眺める星が眩しくてたまらない。


妄想かぁ…


私は星ちゃんの彼女。


彼の試合を見に来たの。


そう思いながら見ていた星が私に気づいて手をふった。


「あっ、妄想楽しいかも…」


『だろ??彼女は凪!星は彼氏!!辛い現実は妄想で上手く乗り切れ!じゃあ、私は寝る!』

星ちゃん。


試合に勝ったら凪を抱きしめてね。

「ちゃんと見てたか?」


って、確認してね。


私は今日、現実から逃げる術を知ったんだ。

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