夢の種と希望の星
いや、終わったと思っていただけだった・・・。

「重要項目優先事項クリアしました。モードを通常に戻します」
でした、でした、そうでした。
重要ではない準備が山ほど残っていたりする・・・。

細かくって小さな事ばっかりで既にほとんど忘れているのでココでは割愛するが、種の事だけ触れておきたい。

フタバでは全員60㎝のプランターで植物を育てる事が義務となっている。
乗組員の癒しにもなるし、わずかだが二酸化炭素を酸素に変えてくれるし、なにより子供達の情操教育の面でも良い事なので種選びにはこだわりを持った。

春にはチューリップ、夏にはアサガオ、秋にはコスモス、冬にはミツバをセレクトした。
季節感のない艦の中で子供達に四季を教える良い教材プランターが出来そうだ。

トアの分のプランターにはストロベリー・ブルーベリー・ブラックベリーの食べられるベリーを用意した。
苗木の方が育てるの楽なのだが、土壌細菌の船内持ち込みがドウノコウノで土付きの苗は面倒な事になるらしい。
種から育てるとなると収穫まで時間がかかりそうだがソレはソレで楽しいかもしれない。

ソンなコンなで種選びにはまってしまった自分は、情操教育の教材になるからと菜園を作りたいと申し出た。

果樹の姫リンゴとサクランボだけは苗木を手に入れられた。
バナナを植えてみたかったが、高さ制限に引っかかってしまった事と育て方が難しいとの事であきらめた。

色々な種を持ち込んだが、ソレを蒔く敷地が足りない・・・。
低学年児担当の先生と相談して理科の教材の畑を共用にして貰える事になった。
小学生用のアサガオ・オクラ・プチトマト・菜の花・稲等々の種もしこたま積み込んだ。
あまりに種にこだわりを持ちすぎたおかげで、細かい準備のいくつかをパスしてしまったほどだった。

菜園が簡単に許可が出たので調子に乗って飼育小屋を申請した。
生き物は病原菌の侵入問題があって難しいらしかったが、農園エリアから返品予定だったオス1羽とメス5羽のヒヨコを手に入れる事が出来た。
「君は農園エリアの方が向いているんじゃないかね?」
と嫌みを1つ言われたが・・・。

噛まれる危険のない小さい子でも抱っこの出来る動物を探していたら、農園エリアのスタッフにモルモットを渡された。
雑草の処分をしてくれて糞は肥料になるので持ち込むらしいが、モルモットはスグに増えるので多少減っても問題ないし、分散飼育した方が何かあった時に対応できるので望ましいとの事。

可愛さはイマイチだが、大人しいし口も小さいので指を無理矢理入れたりしなきゃ噛まれる危険のない生き物だ。
分散飼育の一環としてついでに子牛を預かって欲しいと言われた。
未満児の飼育小屋には、さすが大きすぎるのでヤギにして貰った。
ウサギも何匹かいるらしいので、子ウサギを1羽貰った。
コレがメチャクチャかわいいのだが、気が荒くて観賞用にしかならない(^^;

ソンなコンなこだわりを捨てきれず出発ギリギリまで走り回っていた。
なので出発式典には疲れ果てて寝込んでしまっていた。
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