年上王子様とのアリエナイ××①
あたしの横に立って、目線を合わせてくる。
それだけでばくばくと鼓動が速くなるのが分かる。
この人あたしを殺したいの?
「ひ、久しぶり。おかえりなさい」
ぱっと視線を外したまま言うと
「ただいま、柚子」
ゆっくり後ろから近づいて、あたしの耳元でそう囁いた。
ダメだ・・HPが・・減っていく。
と、途端に
“柚子から誘ってみたら?”
急に理恵ちゃんの言葉を思い出して
余計に心臓が苦しくなる。
無理だよ、理恵ちゃんあたしにはそんなこと出来ないってば!!
ブンブンと理恵ちゃんの言葉を消す。
「...もしかして離れてる間に頭おかしくなった?」
う・・
「君の頭が悪いのは知ってるつもりだけど、
これ以上悪くなるのはちょっと困るかも」
口が悪いのは相変わらず。
でもそんな言葉を聞けるのも嬉しかったりする。