年上王子様とのアリエナイ××①
“翔”
このきれいなお姉さんは何でもないように口にした。
そっか、この人は名前で呼べちゃう仲なんだ。
「どうかした?」
少しだけ膝を落としてにあたしと同じ視線に合わせてくる。
「いえ、何でもないです」
首を左右に振って渡された封筒を受け取る。
翔さんはこんなきれいな人と一緒にお仕事しているんだ。
あたしなんかよりも大人で、綺麗で、優しそうなこの人の方が・・
そう思うとズキンと胸が痛む。
あたし
何焼き餅焼いてるんだろう。
「ねぇ翔とはいつ籍を入れるの?」
「え?」
「あたし正直に言っちゃうけど。
あなたと翔、絶対に結ばれない方がいいわよ」
それは..一体どういう意味?
「と言うよりも、翔は誰とも結婚しない方がいいのよ」
翔さんの何を知っているの?
何を知っててそんな事を言うの?
女の人はクスっと笑ってから
「まぁ決めた事なら仕方ないけどね。でもあなた覚悟は出来てる?」
そう質問した。
“覚悟”
結婚する覚悟?
翔さんの奥さんになる覚悟?
何も答えられないあたしにその人は
「まぁ高校生に言っても仕方ないか、とにかくそれ、宜しくね」
そう言ってあたしの前から去っていった。