年上王子様とのアリエナイ××①
電気を付けないままの静かで暗いリビング。
そこに一本の電話が鳴り響いた。
正直に言うと出たくはない。
でも緊急の用事かもしれないし。
仕方ない、でるか。
重い腰を上げて電話をとった。
「もしもし」
「もしもし?柚子?」
聞き慣れた声があたしの涙腺をどんどんゆるめていく。
「お母さん...」
この前も電話したばかりなのに
暖かい声がじーんと伝わってくる。
「柚子?元気?」
ついこの前かけてきたくせに
「元気、だよ」
でも嬉しい。
「ちょっと待ってね、ほらお父さん」
「もしもし、柚子?」