年上王子様とのアリエナイ××①
あたし、どんどん欲張りになってる気がする。
前は
また会いたいなって
そう思うだけだったのに。
今はすごくどん欲になってて
もっともっとって思ってる。
もっともっと翔さんが欲しいって思ってしまう。
食事をすませて車に乗り込む。
季節を一つすぎたこの町の気候はあっと言う間に変わってしまって。
車内は寒くて手すりもシートも何もかもが冷たい。
無言で乗り込んでシートに座ると、車が発進した。
流れる景色はあまりいいものではない。
この時間にしてはちょっと珍しいくらい、商店街のシャッターが閉まっていて。
不景気なのか、わからないけどいっそう寂しさを醸し出していた。
「降りて」
いつの間に目的地に着いたのか、
車は駐車場に止まっていて。
隣の翔さんは既にシートベルトを外していて
あたしも慌てて外し降りた。
ここって・・
「そ、市役所だよ」
市役所は知ってるけど。
「忙しくて入れられなかったから」
翔さんが笑顔で言うと手を差し出した。