年上王子様とのアリエナイ××①
あたしはそれを握ってもいいの?
「翔さん・・あたし」
「何?今更やめたくなった?」
「違う」
あたし、奥さんとしてふさわしいの?
あたし、本当に翔さんの奥さんになってもいいの?
「かけ、る、さ」
ぽろぽろっとこぼれる涙。
それは止まることなく地面に落ちていく。
「柚子?」
優しい声。あたしの大好きな声。
翔さんの長い指があたしの涙を拭ってくれる。
「ごめん、なさい!あたし昨日、翔さんがお仕事って、知らなくて..
っく、ひっく..あたし翔さんの奥さんに、ふさわしく、ないのに、いいのかなって」
目をこすりながら何とか声に出して言うと
「君ってホントに..」
そう言いながら大きな声でため息をついた。
そして
スッと顎を持ち上げ、
ゆっくりと翔さんの向いている視線に合わせられた。