年上王子様とのアリエナイ××①
きっとあたしにできることはこれが最初で最後だと思うから。
「柚子って意外と頑固だよな」
「え?それじゃあ」
「そこのタンスにスウェット入ってるから取って」
「うんありがとう」
タンスからスウェットを出して、着替えてもらってる間にキッチンを拝借して
お粥を作った。
我が家特製の、玉子粥。
それを持って部屋に入ると、祐くんは相当疲れてるのか眠っていて。
おでこに冷却シートを貼って、ベッドの近くにお粥をおいた。
こうしてまじまじと見ると、本当に整った顔をしてるんだなった事がわかる。
いつも明るくて
あたしのことを好きだと言ってくれた祐くん。
「祐くん、ごめんね。あたし、本当は結婚してるの」
「・・・」
「翔さんと会ったのは、あたしの自殺未遂がきっかけなんだ。
翔さんのマンションから飛び降りようとして。
それを止めてくれたのは翔さんだった。
翔さんはあたしの命の恩人で。最初は何とも思ってなかった」
でもいつからなんだろう。
そんなの分からなくなるくらい
「あたしは..翔さんが好きなの。
だから祐くんとはつき合えないし、きっと、この気持ちは変わらない」
ごめんね
ごめんね、祐くん。
でもね好きって言ってくれて嬉しかった。
ありがとう、ありがとう
そう何度も祐くんにお礼を言うと
祐くんのベッドに沿うように
あたしも瞼を閉じた。
鞄から携帯が何度も鳴ってることに
気がつかずに・・・・