年上王子様とのアリエナイ××①
後数時間も経てば朝日が昇る。
誰もが眠っているはずのこの時間でも
榊の声はいつもとは変わらない。
「何でお前にそんな事言わないといけないんだよ」
はぁっと電話口でため息を零すも
「やはり、喧嘩したんですね」
年よりの勘、というやつなんだろうか。
すぐに察知するとクスクスと笑いだした。
榊のこの笑い、俺は好きじゃない。
「もういいだろ?」
「よくないですよ?解決しないと翔様はお仕事中もきっと柚子さまの事を考えると
思います」
「そんな事あり」
「あり得ますよ。現に今までだってそうでしたから」
まぁ確かにあの子の為に仕事を早く切り上げたりした事はあった。
でも..
「榊、俺はまた裏切られるかもしれない」
「は?」
「あの子に..裏切られるかもしれない」
小さく呟くと
何故か急に現実味を帯びてきて
急に怖くなる。
「翔様」