年上王子様とのアリエナイ××①


その声は紛れもなく翔さんで


ぎゅっと握りしめた布団に力がこもる。


ちゃんと謝るって決めたのに


いざとなると緊張する。


こんなところが

あたしのダメなところだ。



「柚子、ごめん。俺があんなことを言ったせいで..君を..本当は分かっていたのにな」


違う、翔さんは悪くないんだよ?


「君が倒れたって聞いて俺は..ごめん、本当にごめん」


謝らないで


悪いのは


あたしなんだから

「ごめんなさい」


ボソッと呟いた声が聞こえたのか、翔さんが

「柚子?」

名前を呼ぶ。


「あたしが悪いんだから翔さん謝らないでよ」

「柚子、顔見せて」


いつもと同じ声。

優しくてあったかい声。

あたしが大好きな―――声

でも

「い、や」


今のあたしの顔を翔さんに見せることなんて出来なくて布団をかぶったままで答えた。



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