年上王子様とのアリエナイ××①
頭を下げてお礼を言って玄関まで向かう。
「返り路、こけないでよ」
少しいらっとくるけど
でもあたしの命の恩人さんだ。
「エレベーターの乗り方知ってる?」
・・・本当にムカつくけど。
「知ってますし、こけません」
この人ともう会えないかもしれない、
そう思うと少しだけ胸が痛んだ。
もっとこの人と・・
ってあたし何を考えてるのよ。
ぶんぶん首を左右に激しく振ってもう一度笑顔を作る。
「じゃあこれで失礼します」
深々とお辞儀をしてドアノブに手をかけた。
そうだ・・
「あの、よければ名前教えてもらえます?」