年上王子様とのアリエナイ××①
気付かなかったみたいだね
クスっと笑いながら新聞を広げて目を通す。
そっか、あたしずーっと考えてたんだ。
あたしってばせっかくの貴重な時間に・・
「何かあった?」
新聞に視線を落としたままでも優しい声で聞いてくるところを見ると
怒ってるわけではないみたい。
「ううん、何でもない」
ここであたしが変に相談して翔さんを困らせちゃったら
疲れもとれないと思うし。
首を左右に振って晩ご飯の続きに取りかかる。
「柚子」
カサッと新聞の音がしたと思えばパタパタとスリッパの音が近づき
あたしを後ろから抱きしめる。
「俺たち夫婦だよね?」
耳元でささやく声にドキドキする。
「う、うんそうだけど」
「だったらさ、聞かせてくれない?柚子の考えてること」
ほら、包丁から手を離して
優しい声に全身が感じてるのが分かる。
肌も急に熱を帯びて言われるがまま包丁を離すと
ぎゅっときつく抱きしめられる。