年上王子様とのアリエナイ××①


“翔さん、あたしは翔さんが欲しいんだよ”

もっと近付きたいのに

近付くにはあたしが気持ちをちゃんと伝えるしかないのに。


でも今のこの楽しい時間を壊したくなくて

言ったらぶちまけてしまったら

全部終わってしまう気がして。


「柚子?」

さっきのことなんて何でもないような顔をした翔さんの笑顔を見ながら



「ううん、何でもない、大丈夫だから」


とっさに話しを終わらせた。


「そう。じゃあ俺部屋で仕事残ってるから」

「あ、うん、じゃあご飯出来たら呼ぶね」

「あぁ。あっ」

何かを思い出したようにこちらをむく翔さん。


「なに?」

「俺のカレーにくれぐれも野菜を入れないように!」

「何言ってるの?ちゃんと入れますからね!」

「柚子は容赦ないなぁ」

「当たり前です!」

お互い顔を見合わせてクスっと笑い合う。


今はこれでいいんだ。

翔さんの話しを聞くのはきっと今じゃない。

きっといつか話しをしてくれる日がくるはずだから。



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