年上王子様とのアリエナイ××①
何を聞かれるのか分かっていたみたいで
「もしかして名字のこと?」
さすが智香子さんだ。
「はい」
「あたしこんなんでも結婚してるのよ」
「そ、そうなんですか!?」
でも左手の薬指に指輪なんてしてないのに・・
そう言おうとしたあたしのことなんてお見通しなのか
「あんたも指輪してないでしょ?」
「あ、そっか」
「まぁあたしの場合はね、ギリギリってとこかな?」
「え?」
「夫婦仲はもうとっくに冷めてて終わってるようなものなんだけどね。
でも離婚は出来ないのよ。それは向こうの家が許してくれなくてね」
初めて聞く智香子さんの話に驚きが隠せない。
そっか。
本当にいろんな夫婦の形があるんだな。
「とにかく!!おじい様にだけは迷惑をかけないで欲しいわけ」
「はい」
「あんたは覚悟をしてこの家に嫁いできたんだから」
「ハイ」
「それはあんただけじゃないわ。結婚する人にとって覚悟は大事よ。
その家に入るんだもの」
「そうですね」