年上王子様とのアリエナイ××①


まだ心臓がドキドキしてるよ。

さっきの翔さんの手の感触と唇の感触が頭から離れない。


胸に手をあてて大きく深呼吸をしてると

「柚子?」

ノックがしてそれに答えるとドアが開いて翔さんが寝室に入ってきた。


「俺仕事に戻るから」

そっか、お仕事で来てるんだもんね。

「分かりました」

そう答えると

「柚子?」


翔さんが近づいてあたしの頬に手をあてる。

それについ反応してしまう。


「続き、したかった?」

ニヤッと見せる悪戯っぽい笑顔。

「そ、そんなわけないじゃないですか!!」

「それは残念。でも俺は約束は守るよ」

「約束?」

「君の心の準備ができるまで待つって言う約束」

そんなのすでに破ってるような気がするのはあたしだけ?


「翔様」

「あぁすまない」

そう言った翔さんの顔はすでにお仕事モードにスイッチ入った。


「じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃい」

「柚子?」

翔さんが離れていくかと思ったら、いきなり近づいてきて
あたしの耳元で小さくささやいた


「いいか、誰が来ても開けるなよ」


その言葉をあたしはきちんと理解していれば良かったんだと思う。


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