年上王子様とのアリエナイ××①
周りの人、特に女の人の声が聞こえる中、それを何とも思わずに
昨日の命の恩人さん――北原さんが手招きしながら
「とりあえず乗って」
車の中からあたしを呼ぶ。
「乗ってって・・そんなこと言われてもあたし」
「いいから、黙って乗りなさい」
今度は大人口調?
また子供扱いして!
ぶうっと頬を膨らませながら仕方なく車に乗り込む。
「シートベルトの締め方分かる?」
またそうやって
「分かってます!!」
睨みながら言うと
「じゃあ行くよ」
あたしが怒ってようとお構いなしなのか前を向いて車を発進させた。
なんなの?一体。
急に現れて
乗れなんて命令口調で言われて。
意地悪な事言って。
何がしたいの?
チラッと視線を横に移すと
真正面を見つめて運転をする北原さんの整った顔
が見える。
昨日とは違う印象なのは
スーツを着ているからかな?
「何?」