年上王子様とのアリエナイ××①
あたし達が選ぶ道
「乗って」
気がつくと駅からはだいぶ離れていた所を歩いている。
そして目の前には一台のタクシー。
「あの、あたし帰らなくちゃ」
「どこに?」
「どこにって・・家にですけど」
「本当に帰れるの?」
なにが言いたいの、この人。
「今帰っても行く場所なんてないだろ?」
「そんなことどうしてあなたなんかに」
「分かるよ。俺は分かる。そしてこれから柚子がどうするべきなのかもな」
意味が分からない
あたしがこれからどうするべきなのか分かるって
しかも何であたしの名前知ってるの?
「とりあえず乗って。場所は着けば分かる」
こんなの、本当は従いたくなんかない。
足を止めたまま動こうとしないあたしに
「じいさんに頼まれたって言ったら乗ってくれんの?」