年上王子様とのアリエナイ××①
「行くよ、柚子」
ぐいっと腕を引っ張ってあたしを立たせると
「ちょっと、翔さん!!!」
言い終わる前に家を出された。
「翔さん?」
「...」
「ねぇ翔さん!!」
やっとあたしの声に耳を傾けてくれる気になったのか後ろを振り向いた途端
「君は馬鹿か!!!」
大きな声が庭中に響き渡る。
木々に止まっていた鳥達が一斉に羽ばたいていった。
「翔さん?」
まっすぐ見つめる瞳は
いつもと違って鋭くて冷たい。
「君は..俺がどんな気持ちで..」
「翔さ..」
「君を失う事がどれだけ俺にダメージを与えるのか分かってる?」