年上王子様とのアリエナイ××①


何度も何度も頷いて


ぎゅっと力強く抱きしめる。


「柚子・・」

「翔、さん」


相手を傷つけて

初めて分かる。

自分がどれだけ愚かで

バカで

幼いことをしたのか。



「離れて、いかないよね?俺から・・君も離れていかないよね?」

君も・・



あたしはなにも知らない。

でもそこに翔さんはものすごく恐怖を感じている。



「翔さん、あたしに教えて?たとえなにがあっても翔さんから離れないから。
もう絶対に」


回されていた手をふりほどき、その手に自分の手を絡ませる。


「知りたいの。翔さんの苦しみも、悲しみも」

「柚子・・」

「だってあたし達、夫婦でしょ?それに・・あたしも見つけたい。
翔さんとなら絶対に大丈夫っていう言葉の存在を」

「それを知る必要はない」


後ろを振り返ると、そこにはさっきの――――


「どうして・・」

「お前は離婚するんだよ、絶対に・・・」


金髪の男の人が立っていた。




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