年上王子様とのアリエナイ××①


あまりにもじーっと見ていたからなのか、

視線に気付いた北原さんが
正面を向いたまま質問してきた。

「あの..どこに行くの?」


そういえば

あたし..行き先すら知らされてないんですけど。


「着けば分かるよ」


それだけしか答えてくれない。


何度も聞いてもそれ以上の答えは得られないような気がして。


車に乗ったの失敗したかなぁなんて考えながら

仕方なく窓の外の景色をみつめる。


車で通るのと、歩くのとでは全く違う景色に少しだけ
ワクワクしてしまう。



「それにしても君は帰る準備も遅いんだな」

「何それ」

「他の生徒はすぐに出てきたのに君が出てきたのはだいぶ後。
おまけに亀のようなとろい歩き」

「す、すみませんねぇ!!!大体あたしは“君”なんかじゃなくて」

そう怒ると

「柚子、だろ?」
< 29 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop