年上王子様とのアリエナイ××①
あまりにもじーっと見ていたからなのか、
視線に気付いた北原さんが
正面を向いたまま質問してきた。
「あの..どこに行くの?」
そういえば
あたし..行き先すら知らされてないんですけど。
「着けば分かるよ」
それだけしか答えてくれない。
何度も聞いてもそれ以上の答えは得られないような気がして。
車に乗ったの失敗したかなぁなんて考えながら
仕方なく窓の外の景色をみつめる。
車で通るのと、歩くのとでは全く違う景色に少しだけ
ワクワクしてしまう。
「それにしても君は帰る準備も遅いんだな」
「何それ」
「他の生徒はすぐに出てきたのに君が出てきたのはだいぶ後。
おまけに亀のようなとろい歩き」
「す、すみませんねぇ!!!大体あたしは“君”なんかじゃなくて」
そう怒ると
「柚子、だろ?」