年上王子様とのアリエナイ××①
不謹慎かもしれないけど
久しぶりに聞く大好きな人の声に心臓が高鳴る。
どうしてかな
なんでこの人はいつもいつも
あたしが来てほしいって思うときに来てくれるんだろう。
翔さんはやっぱりあたしのヒーローだよ。
「翔さん」
「翔!!なぜここに!」
「連絡がありましたから」
翔さんはそう言うと西山さんの方に視線を移した。
まさか西山さんが連絡してくれたの?
「しかも俺の荷物を片付けさせたそうですね。勝手なことを..」
「翔!聞いてくれ私は!」
「おじい様、俺はもうあの時よりも大人になりました」
「かけ・・る」
「俺は何もかも捨てたわけじゃない。捨てられるわけなんてないんです。
大事な人を失った時の悲しみは、消したくても消えるものじゃない。
そしてその痛みを、柚子と、この子と抱えて生きていきたいんです」
「翔さん」
あたしの声にやっと視線を動かし
“待たせたね”
そう言ってあたしに笑顔を向けてくれた。
翔さん..
「俺は柚子と手を繋いで乗り越えていきたいんです」