年上王子様とのアリエナイ××①
翔さんはそう言うとくるりと反対を向いてあたしに
視線を向けた。
「翔・・さん」
少し痩せたのかな
でも相変わらずかっこいいその姿に
あたしは出会ってからドキドキしっぱなしだ。
きっとこのドキドキは
ずっとずっと続くものなんだ。
「柚子!」
翔さんがいつもよりも明るい声であたしの名前を呼ぶ。
「な、なに?」
あたしもめいいっぱい明るい声で返事をした。
「俺はなにもかも失ってしまった。
だけれどももし君がそれでも俺についてきてくれるというのなら」
もう..この人は
あたしを泣かせる天才なのかな?
そんなの決まってるじゃない。
あたしの答えはいつだってたった一つなんだもん。
「翔さん、大好き!!!」
久しぶりに翔さんに抱きつき、きつく抱きしめた。
今まであえなかった分
不安だった分を埋めるように。