年上王子様とのアリエナイ××①


「ただいま」

ため息をつきながら家のドアを開けると

「お帰りなさい~」

パタパタとスリッパを鳴らせて玄関に向かってくるママの足が止まった。


「あら、柚子、その方は?」

どう、説明しようか迷ってると、すぐに肘で突かれる。


分かってますよ、分かってます!!

あたしに残されてる道はこれしかないんでしょ!?


「あのね、お母さん、この人は」


そこまで言うと


「初めまして、北原翔と申します。
本日は柚子さんとの結婚のご挨拶に伺いました」


そう言ってからと深々とお辞儀をした。


「柚子、どういうこと?」

ママが不思議そうな顔であたしを見つめる。

ちらっと北原さんの方を見るとしたからあたしを睨んでる。


「ちゃんと言えよ」って目で。


はぁ此処まで来たんだから後には戻れない。


ふうっと一息ついてから

「お母さん、あたしこの人と結婚する!」


ついにお母さんの前で宣言してしまった...

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