年上王子様とのアリエナイ××①
「柚子、どういう事かな?いきなり結婚なんて」
あたしと北原さんの宣言は当然お父さんにも伝えられ、
そのお父さんもハローワークから急いで帰ってきてくれた。
そして今リビングには
あたし達家族と、そしてあたしの隣には北原さんがいる。
お父さんとお母さんの顔はいつになく真剣そのもので、
緊張感がひしひしと伝わってきて。
いつもの明るい感じは何処にもない。
「先程申しました通り、お嬢さんと結婚させていただきたいんです。」
北原さんはピシッとした正しい姿勢のまま話を進める。
へぇ意外と礼儀正しいんだ。
「結婚って娘はまだ..」
「はい、来月で16歳になると柚子さんから伺いました」
伺った!?
誰が教えたって言った?
自分で勝手に調べたんでしょ?このペテン師!!
..とは口には出さず、黙って北原さんとお父さん達のやり取りを見る。
「ですが僕としては今すぐにも出彼女と一緒に暮らしたいと思っています」
顔を一度も逸らす事無く、まっすぐお父さんを見つめたまま話す北原さん。
「しかしだね、君歳はいくつだったかな?」
「今年で26になりますが..」
「26なのに高校生と..しかもまだ子供だ、そんなこの子の何処が気に入ったんだね?」
お父さんの言い分は最も。
それにあたしも知りたい。
この人がどうしてあたしを欲しい、って思ったのか。
さっきのようなのじゃなくて
真剣な話を。
「正直に申しますと..」