年上王子様とのアリエナイ××①


北原さんがどんな話をするのか

すごドキドキしている。


でも次に聞こえたのはとんでもない言葉だった。


「僕はあなた方を助けるために彼女と結婚するのです」

「....は?」


何の迷いもなくそう告げた北原さんに

お父さん、お母さんだけじゃなく

あたしまで驚く。


何で今そんな事を言うのかなぁ?

そんな事言ったら絶対に反対されるに決まってるじゃない!


「ちょっと北原さん」

グイッと腕を引っ張りながら視線を送るけど

ちっともこっちを向かないまま黙ってお父さんの出方を見ている。


「僕は将来北原グループを継ぐ者です。金は溢れるほど持っています。
そしてあなた方が一生抱えていかなければならない借金を
僕は一括で支払う事が出来るんです。
娘を渡すのは嫌かもしれないが、それでも普通の生活が出来るんですよ?
悪い話ではないと思って交渉しに来ました」

ますます悪い方向にいくように話を進めているように思うんだけど

そう感じるのはあたしだけ?


「そうか..」

お父さんはそう呟いて下を向く。

お母さんもあたしもお父さんがどんな答えを出すのか気になる。


やがてゆっくり顔を上げて

「北原くん。そのような話で娘と結婚をするのなら、僕は反対だ」

あたしに微笑みながらそう答えた。



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