年上王子様とのアリエナイ××①
「それじゃあ」
「はい..」
話合いは無事に終わり、北原さんを見送りに車を止めてある場所まで一緒に歩く。
家に向かう時とは少しだけ違う、
この距離も
気持ちも。
昨日の今日で、あたし達出会ってまだほんの少ししか経ってないのに。
いきなり結婚なんて。
「あたしは..北原さんと結婚したい」
自分で言ってしまった言葉を思い出すと顔が赤くなる。
「まさか君の口から“結婚したい”なんて出てくるとは思わなかったよ」
この人エスパー?
あたしの考えてたことが分かるなんて。
「あ、あたしだって知らなかった。まさか北原さんが..あ、あんな」
「あーアレね」
そう言いながら何処か遠い場所を見る北原さん。
「君の家族が少し羨ましいよ」
「そうかな、普通だと思うけど。ねぇ話逸らしたでしょ?」
「空が綺麗だな」
グイッと腕を引っ張ると悪戯っぽい笑顔がすぐ近くにある。
空はもう真っ暗で、空気が綺麗だから星達もたくさん見える。
星座の事はよく分からないけど、
それでもこの町に住んで物心ついた時から一度も空を見上げない日はなかった。
いつもと同じ空。
でもそれは飽きる事はない。
いつ見たって、綺麗なあたしの大好きな景色。
「こんなの、都会にいたら見えないでしょう?」