年上王子様とのアリエナイ××①
引っ越しを終えたすぐ後、急に東京出張に行ってしまった北原さん。
あたしはその間、ちょっぴり寂しい生活を送っていた。
「実家にいても構わないよ」
北原さんはそう言ってくれたけど。
でもなんとなくあそこの家で待っていたかった。
だってあそこはもう、あたしの家でもあるんだから。
「北原さん、どんなものが好きなのかな?」
お仕事で忙しい北原さんは家にいつ帰ってくるかも分からない。
だからいつも北原さんがご飯を食べられるように手抜きせずに
頑張ってる。
あたしは何でも食べれるけれど、北原さんが何を好きなのかイマイチ
ううん、さっぱり分からないんだよね。
家でご飯を食べた時は何でも食べてくれたけど。
「何でも食べるんじゃない?愛する妻のご飯ならさ~」
「あ、愛するって!あたし達はまだそんなんじゃ..」
そうだよ、あたし達にそんな感情があるわけ..
「えーでも普通だったら他人の親の借金を払ったり、結婚しようとか思わないけど」
「それは..」
「あんたはさ、北原さんの事、好きになれそう?」
「え?」