年上王子様とのアリエナイ××①
制服から私服に着替えて、家を出た。
マンションを出ると、散りそうな桜の花びらが風に踊るように舞っている。
春のすがすがしい匂い
風の温かさ。
優しく包み込んでくれるような景色と風が吹く、この季節が
あたしは一番好き。
見上げれば、空には雲は一つもない。
綺麗な青色
今日の天気はそんな言葉がよく似合ってる。
田舎だから空気も澄んでいて。
深呼吸するのが楽しくなる。
駅までは歩いて20分かかるけれど、でもこの景色を楽しんでいると結構あっという間。
切符を買って改札を通り、止まっている電車に乗り込む。
誰も乗ってない車内はまるで貸切状態。
二両しかないこの電車に乗っているのがあたしだけ。
それが特別のような気がして
物語に迷い込んだ主人公みたいな気分になって。
さっきまで落ち込んでいた気持ちが少しだけ楽になる。
北原さん..何してるかな?