年上王子様とのアリエナイ××①


「あたしは高島柚子」

「柚子..可愛いね~」


“可愛い”なんて言われたことのないあたしは

ただただ心臓をドキドキさせながら祐君を見つめた。


「そんなこと言われたの初めて」

「そう?柚子って可愛いよ?」


茶色い髪を靡かせて、子犬のようなくりくりっとした瞳で言ってくれる祐君。


そういえば北原さんは

あたしのことそんな風に言ってくれたことなんてなかったな。


「あたし、前男の人に動物みたいって言われたんだ」

「ぶっ動物?」

「そう」


北原さんは最初に言った。


「君はイノシシみたい」だって。


あのとき、あの人はあたしのことをちゃんと見てくれた。

意地悪な事も言われたけど。

それはそれで楽しかった。

でも今は・・・



「何で?」




< 64 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop