年上王子様とのアリエナイ××①
それから数週間、
あたしと翔さんは離ればなれの日々を過ごした。
あのとき勇気を振り絞って書いたメールも
返ってくることはなかった。
日々を過ごすうちに季節は一つ過ぎ。
暑い暑い夏を迎えた。
外は蝉がせわしなくなき響き、その声は、
最上階のマンションからもかすかにだけど聞こえてくる。
窓を開けて景色を見れば、
周りには何もなくて、その先には大きな山が見える。
その反対は海。
一人でいることになれてしまったのか。
よくこうして景色を見るようになった。
お父さんとお母さんには
「ちゃんとうまくいってるから大丈夫」
そう言うことしか出来なかった。
とてもじゃないけど、うまくいってないなんて事は
言えなかった。