Escape
Title 1

resolution


著しい蝉の声の中、荒い息を立てて通学路を走り抜ける。
気を抜くと転んでしまうくらい必死に。


早く消えなくちゃ。
一刻も早くここから消えなくちゃ。


「何のタメにくるみを引き取ったのか分からない」

目を瞑れば思い出す。
一番言われたくない人に一番言われたくない言葉を言われた。

そんなにあたしが要らないのなら、もう消える。

それで良いんでしょ?

< 1 / 6 >

この作品をシェア

pagetop