Escape

うん、分かってる。
分かってるよ、右梨。
でもね、


「あのね右梨、あたしは今まで奏(かな)ちゃんに甘えていたの。……あたしも、これからずっと奏ちゃんと一緒に暮らしていくと思っていた。、でも、そんな奏ちゃんに……」

「さっきのお前からのメールで大体は知ってる。奏さんはお前を拒絶したわけじゃなくて、」

「そんなのあたしが一番分かってる」

「なら、」

「でももう無理。こんな気持ちのままこれから奏ちゃんと一緒に居ることなんて出来ないよ」

「……」

「右梨なら分かってくれるよね」

「一週間に一度は必ず俺に連絡すること。それから、一人でどうにもならないって分かったらもう消えるなんて言わずに戻ってこい。その条件を呑むなら俺はお前が消えることに対して何も言わない」

「うん。分かった」


あたしは消える。
この街から、一番大好きな奏ちゃんの前から消える。


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