姫!!そこはよしとしましょう


着替えがおわる頃に入ってきたのは


「彩、支度は終わった?」


母だった。


「お母さん…!!」


久しぶりにみる馴染みの顔に
思わず安堵の声がでてしまった。


「母上と呼びなさい。彩。」
「すみません」


やっぱり本物ではないらしい。

そうするとここは…過去?


「明日はあなたの大切な日ですから、しっかりしなくては」
「なにかありましたかしら?」


できるだけ言葉を直そうとすると、
なんだか気持ち悪い。


「殿様にお目通りするのですよ。なにを忘れているのやら」


殿様………し、将軍?


「え、徳川?」
「呼びすてとは恐れ多い…」
「すみませんが、今年は何年ですか?」


これで、何代目の将軍かだいたいわかるだろう。


「2010年ですよ。なぜですか」


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