コーヒー溺路線
「松太郎さんは読書が好きなのね」
彩子はぽつりと呟いた。
それからリビングにいる松太郎の元へ戻り、ソファにもたれかかった松太郎の隣りにぴたりと寄り添うように腰を掛けた。
松太郎は嬉しそうに笑って彩子の腰に手を回し、自分に密着させた。
彩子は羞恥に顔を紅潮させながらも松太郎の胸に頬を擦り寄せた。
「どうしたの、今日は積極的だな」
「そうですか?」
「俺は物凄く嬉しいけど」
松太郎は彩子のこめかみに口付けをして満足そうにした。松太郎がおもむろにテレビをつけるとバラエティー番組を放送していた。
特に見たいと思った訳ではないが、松太郎はこうしていると夫婦のようだと密かに思いテレビをつけたままにした。
彩子がしきりに頬擦りをする。
松太郎はそれが嬉しくて、くすぐったくてどうしようもなかった。
「松太郎さんは暖色が好き?」
彩子が質問をした。松太郎は虚を付かれたような顔をしたが、彩子の腰に回した手の力を弛めて答える。
「そうだな。部屋を見て解るように暖色が好きかな、黄色とか橙色とか」
「それじゃあ、嫌いな色はある?」
「ううん、嫌いとまではいかないが黒は好きじゃないかな。哀しい感じがするから」
「一番好きな色は何色?」
「一番か。一番好きな色は青色かな、鮮やかな青色が好きだ」
彩子は嬉しそうに笑っては頷いた。
自分も青色が好きだと言った。
「松太郎さんの好きな食べ物は何?」
彩子の質問は続く。