コーヒー溺路線
 

コーヒーをいれて配った後、彩子は松太郎と一緒に根岸や小野達から企画発足部が現在受け持っている仕事や、今後の取り組みについて話を聞いた。
 

頷きながら聞いている彩子に相反して、松太郎は話を聞きながら黙ったまま何か考え込んでいる様子だった。
 


 
「解らないことがあったら聞いて下さい、富田さんには過去五年分の資料のまとめと今後の流れの推測をペーパーにして提出して欲しい。期限は特に決めないけど、それをまず最初にしてもらうから」
 

 
「はい」
 


 
彩子はこの部署に移動して初めての仕事だと思い、やる気に満ち溢れている。今日はこれに没頭しよう、コーヒーのおかわりをいれる以外はと。
 


 
「部長、過去五年分の資料はどの資料室にありますか」
 

 
「ああ、済まない言葉が足りなかったね。企画発足部は主に四階の資料室を利用しているけど、そうだな、この資料は七階かな」
 

 
「分かりました、行ってきます」
 

 
「よろしく頼むよ」
 


 
彩子は駆け足で階段に向かった。一つ上の階なのでわざわざエレベーターを使わなくても良いかと考えたのである。
 


 
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