コーヒー溺路線
和人の交通手段は専ら車である。出勤をするのも車で、いつも地下にある車庫へ停めている。
いつもと変わらず車庫に車を停めた和人はその後も普段通りに勤務した。
「佐山部長、須川は昨晩から熱を出しているらしく今日は休むそうです」
「熱だって?そうか、風邪かな」
俊平が仕事を休むことで差し障りがないように嘘を吐いた。これも俊平の為だ。
当の俊平は和人の言う通りに風呂に入り、大人しくココアをいれては飲み、いれては飲みを繰り返していた。
「……」
何を思い立ったか、俊平はおもむろに昨日は全く触れることのなかった携帯電話に手を伸ばした。