コーヒー溺路線
彩子が目が覚めた時外はもう既に明るくなり、カーテンも開いたままだ。
部屋は昨日の朝の状態のままだった。
ベッドに横たえたままの状態で柔らかな日差しが入る出窓を眺めた。
そうして昨日はどうしたものだろうかと彩子は寝起きで働かない頭を使った。
「今何時っ」
今が次の日の朝であることを自覚すると、彩子は仕事があるのにしまったと思い体を無理やり起こした。
忙しくて分刻みで動く仕事を毎日こなしている彩子の反射も虚しく、携帯電話を開くことで今日は土曜日で休みなのだと知ると彩子は脱力した。
「はあ」
物が極端に少ないために閑散としている部屋で彩子は溜め息を吐いた。
とりあえずいつものようにコーヒーをいれようと立ち上がり、この前あのコーヒーショップで購入したばかりの豆でコーヒーをいれた。
いつものマグカップは今日も愛しい。
彩子はコーヒーをいれながらふと思った。
昨日は一体どうやってここへ帰ってきたのだろう、全く覚えていない。確か昨夜は部署の歓迎会で居酒屋に行った。そこには部長である根岸と妙に押しと酒に強い小野梓と、それから松太郎がいたのだと思い返した。
皆目見当が付かず彩子は焦燥に駆られ、もう少し日が高くなったら松太郎に連絡をしてみようと思った。