コーヒー溺路線
その洒落た喫茶店に入るとウェイトレスが何名様ですかと訊いた。
二人ですと松太郎は答えた。
「こちらへどうぞ」
そのウェイトレスは松太郎と彩子を壁際の落ち着いた席に案内した。
「中もお洒落ですね」
「ね、女性が好みそうな可愛らしい店でしょう」
「本当」
彩子は嬉しそうに微笑むとメニューの書いてある冊子を眺め始めた。そんな彩子を松太郎が眺めている。
松太郎は何度か数える程だがここへ来ているので、いつも注文する物にしようと思った。
「注文がお決まりになられましたら、お呼び付け下さい」
「ありがとう」
彩子はトマトソースのパスタにしようと思いながら、またここへ来てみようとも思った。
千円前後の単品メニューからセットメニューなど軽食が沢山あるので、働く女性が好みそうな喫茶店である。
「決まったかな」
「はい、決まりました」
「よし。すみません、注文をお願いします」