コーヒー溺路線
珍しくすっきりと目が覚めた朝、そういえば今日から移動だったなと彩子は思った。
彩子はゆっくりと体を起こして血が全身に巡っているのを感じた。ベッドから降りるといつものようにコーヒーをいれに行く。これは欠かすことのできない習慣だった。
まだ時計は六時四十分を指している。
予想外に早く起きてしまったと浅い溜め息が漏れた。コーヒーをいれ終えるとゆっくり一口飲んでマグカップを置く。
コーヒーカップではなくマグカップでコーヒーを飲むのも彩子のこだわりであった。
少しずつコーヒーを飲みながら、早朝からテレビ局各局が放映している芸能ニュースなどを眺めてあの芸能人は離婚していたのか、はたまたこんな芸能人が今人気のできちゃった婚かなどと思いながら見た。
気付けば出勤時間が迫っていたので彩子はコーヒーを飲み干して着替え始めた。
社員は基本的に八時半までに出勤する。しかし彩子はいつも八時ぴったりに出勤する。
部署が変わって初日の今日もいつものように彩子は八時に出勤した。