雪降る山
雪降る季節
仮想 平安時代末期
辺りには雪が降っている。都の下級貴族の小姓の春日は霜焼けの手をさすりながら主の使いをすませ、小走りで主がいる邸宅へ向かっていた。
(あぁ、なんて寒いのだろう。早く炉端で暖まりたい。)
小姓と言えど、実は春日はまだ齢九つの女の子だ。
寒い日のお使いほど辛いものはない。
(少し
遅くなってしまった。旦那様は怒るだろうか、、、)
雪の中をほどなく歩くと都の外れに主の邸宅が見えてくる。下級貴族にしては立派な構えで庭もある。
「旦那様。ただいま戻りました。」
玄関で一声挨拶をし、わらじを脱いで室内に上がる。小さな足が寒さ赤く乾燥して少しあかぎれができているのがなんとも痛々しい。
「少々遅かったな。どこぞで油を売っていたのではあるまいな。」
そう言いながら奥から青年が出てきた。
背は高く細身で切れ長の目をしている。顔立ちは非常に整っていて、美人といっても過言ではない。女ならば彼に目を奪われない者はいないだろう
この彼が小姓・春日の主人、黒田清四郎である。
彼はわずか十二歳のときに両親を亡くし黒田家の当主になった。
しかし、まだ幼い清四郎では家を支えることはできず、黒田家の格は下がり、使用人どもも次第に消え失せ今では小姓の春日のみが清四郎に使えている。その当主清四郎は現在十六歳である。
「申し訳ありません、旦那様。なにぶんこの雪ですゆえ、」
「、、、そうか。では夕食の支度に取りかかれ。」
そう言うと清四郎は奥に消えていった。
日は沈み辺りはしんと静まりかえっている。
辺りには雪が降っている。都の下級貴族の小姓の春日は霜焼けの手をさすりながら主の使いをすませ、小走りで主がいる邸宅へ向かっていた。
(あぁ、なんて寒いのだろう。早く炉端で暖まりたい。)
小姓と言えど、実は春日はまだ齢九つの女の子だ。
寒い日のお使いほど辛いものはない。
(少し
遅くなってしまった。旦那様は怒るだろうか、、、)
雪の中をほどなく歩くと都の外れに主の邸宅が見えてくる。下級貴族にしては立派な構えで庭もある。
「旦那様。ただいま戻りました。」
玄関で一声挨拶をし、わらじを脱いで室内に上がる。小さな足が寒さ赤く乾燥して少しあかぎれができているのがなんとも痛々しい。
「少々遅かったな。どこぞで油を売っていたのではあるまいな。」
そう言いながら奥から青年が出てきた。
背は高く細身で切れ長の目をしている。顔立ちは非常に整っていて、美人といっても過言ではない。女ならば彼に目を奪われない者はいないだろう
この彼が小姓・春日の主人、黒田清四郎である。
彼はわずか十二歳のときに両親を亡くし黒田家の当主になった。
しかし、まだ幼い清四郎では家を支えることはできず、黒田家の格は下がり、使用人どもも次第に消え失せ今では小姓の春日のみが清四郎に使えている。その当主清四郎は現在十六歳である。
「申し訳ありません、旦那様。なにぶんこの雪ですゆえ、」
「、、、そうか。では夕食の支度に取りかかれ。」
そう言うと清四郎は奥に消えていった。
日は沈み辺りはしんと静まりかえっている。